新聞、テレビは報じない…中国・習近平が「台湾」にこだわる「意外なワケ」

「トウ小平を嫌う」習近平

補助線は、トウ小平である。

習近平は、トウ小平に冷たい。トウ小平のことが大嫌いだと言ってよい。なぜなのか、その背景は複雑だ。遠藤誉先生の『裏切りと陰謀の中国共産党建党100 年秘史　習近平　父を破滅させたトウ小平への復讐』はそれを分析している。私はこの本を読み、とても納得した。

トウ小平 photo/gettyimages

それはともかく、習近平は、トウ小平の政策をひとつずつひっくり返していく。

第一。トウ小平は「先富論」（先に豊かになれる者からなっていい）を掲げた。習近平はそれに対して、「共同富裕」（元は毛沢東の言葉）を掲げた。そして、 アリババや恒大集団など、中国経済の主役を狙い撃ちにしている。

第二。トウ小平は、一国二制度を唱え、中国に返還されても「香港は50年変わらない」と約束した。習近平はその香港を、腕ずくで屈伏させた。外国との約束であっても、平気でホゴにする。

第三。トウ小平は、西側世界とよい関係を築いて、それを追い風に改革開放を進めた。習近平は、西側世界と対立をものともしない「戦狼外交」を進めている。