アニメ『オッドタクシー』は「バズって闇落ち」する人への、救いの話なのかもしれない…!

高木 敦史 プロフィール

一方で「認められたい/満ち足りたい」というのは、映画『タクシードライバー』のトラヴィスがずっと抱える感情です。逆に、オッドタクシーの小戸川はそこには興味の薄い人物です。それでいて、日々他人の満ち足りないという主張に晒されている。どちらかというと、トラヴィス的な性質を持つのは小戸川の乗せる客達の方です。

小戸川が乗せる客は、全員が誰かから認められたがっています。

ゲラダヒヒはボスに褒められたい。アルパカは好きな人に振り向いてもらいたい。ゴリラは友人の力になりたい。トイプードルはアイドルとして売れたい。ピューマは自分で過去の自分自身を受け入れたい。コビトカバの樺沢に限らず実は、全員、承認欲求の塊です。

 

オッドタクシーはミステリとしての面白さも折り紙付きながら、一方では小戸川を主人公に据えた、実のない承認を欲する人々に自助を促す物語と言えます。その辺も意識して見ると、きっと一話目から楽しめる気がします。

全ての空虚な欲求に、それでいいのか? と問いかける小戸川。見ているこちらは「大変だなあ」なんて思いながら、やがて彼らが自助のために動き出す様を見て、なんとなく「じゃあ自分はどうかな」と考え込んだりしてしまいます。

なんて、自分の欲求を見直せば「日々ゴロ寝して暮らしたいな……」とかですが。そんなこと言っているから全然、自分の小説が売れないんですけどね。というわけで、今回はこの辺で!

高木敦史『幽霊お悩み相談室(2): 幽霊屋敷の転校生!?』

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