モデルとして芸能界に入り、今では心を打つ演技でも定評のある高橋メアリージュンさん。現在出演中のドラマ『アバランチ』(カンテレ/フジテレビ月曜22時~)もクールながら熱いハートを持つ明石リナを全力で演じています。
その演技に説得力がある理由の一つは、メアリージュンさんの優しさにあるのではないでしょうか。だからこそ役柄に寄り添い、その人になり切ることができているように思うのです。
そんなメアリージュンさんの優しさの秘密に迫る連載「優しさと生きる」。一言で「優しさ」と言っても、人に対して、地球に対して、自分に対してなど、様々な「優しさ」があります。彼女の優しさのベースにあるのは、とても仲がいいという家族の存在です。日本人の父とフィリピン人の母、メアリージュンさんの下には弟さん2人と妹がいる6人家族。メアリージュンさんが12歳のときに父親の経営していた会社が倒産し、マトリョーシカのように家が小さくなっていったとも言います。クリスマスディナーが卵入りのワンタンメンになっても、家族一緒に食べるだけで笑顔が絶えない生活だったというメアリージュンさん。中学の時にはアメリカに暮らす叔母の家に預けられ、そこで1年生活することとなりました。
その経緯や、当初英語が話せずに仲間外れのような状況にもなった体験を伝えた前編に続き、後編ではアメリカの学校で学んだことを教えていただきます。

すれ違いざまに「そのメイクいいね!」
アメリカでの学生生活で一番驚いたことは、アメリカ人のクラスメートが皆、揃って自分に自信を持っていること。大柄でぽっちゃりした女子高生も、おへそにピアスをして、ドーンとお腹を出して歩いているのです。でもそれがすごく格好良くて、「うわあ、素敵だなあ~!」と感動しながら日々を過ごしていました。
「〜だから恥ずかしい」と下を向いていては、せっかくの魅力が半減してしまいます。アメリカに来て、どんな時も胸を張り「これが私なのよ」と堂々としていることが大事なのだと学びました。
私は自他ともに認めるスーパーシャイな人間で、自分から声をかけるのは大の苦手なのですが、学校にはすれ違いざまに「そのメイクいいね!」とか「その服かわいい、どこで買ったの?」と褒めてくれる子がたくさんいて。しかも全然知らない子が、まるで挨拶のように明るく話しかけてくれるのです。
留学で「たとえちょっとしたことでも、褒められるとこんなに嬉しいものなんだ」ということを実感した私は、それ以来、できるだけ相手の素敵なところを見つけて「それいいね!」と褒めることを心がけるようになりました。