2022.01.01

「変顔もかわいい!」のは、もとがよいから!? 奥深い"顔の魅力"

とはいえ、個人や集団で魅力もさまざま
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今年も、おもしろ科学トピックを、続々とご紹介してまいります!

ブルーバックス編集部

お正月といえば、福笑い! というのは、昭和のお話と思いきや、最近では福笑いアプリなんていうものもあるそうで、いつまでも廃れない遊びなのかもしれません。福笑いは、目隠しをして並べた目や鼻の位置のおかしさから、いわゆる「変な顔」の代名詞にもなったりします。

「変な顔」といえば、2021年は、美男・美女が、おもしろ・おかしい表情をする「変顔」が、ちょっとした話題になりしまた。もともと整っている顔だけに、変顔とのギャップが、見る人に強いインパクトを与えます。

これは、裏を返せば、私たちには無意識に「美しい顔」とか「魅力的な顔」といった共通した認識があるのかもしれません。では、そうした顔の魅力は、どこから醸し出されるのでしょうか?

2021年刊行のブルーバックスの中から、現在も大好評の『「顔」の進化』。本書では、「魅力的な顔」について、魅力と関係の深い性差や性的魅力とともに、人類学的な見地から論じられています。少しのぞいてみましょう。

エリザベス・テイラーのバイオレット・アイ

女優エリザベス・テイラーのヴァイオレットの虹彩には、引きずり込まれてしまう魔
力があった。映画『クレオパトラ』で、彼女が演じるクレオパトラの魅力にカエサルとアントニウスが溺れるのも納得できる。

『クレオパトラ』でのエリザベス・テイラー『クレオパトラ』でのエリザベス・テイラー photo gettyimages

虹彩が青く見えるのは、空が青いのと同じ「レイリー散乱」の結果だ。太陽光線のうちの青色光線は、空気の分子や微細な粒子によって他の色より多く散乱されるので、空が青く見えている。それと同じことが、メラニン色素のほとんどない虹彩を光が通過するときに起こり、青い光が散乱して見えるので虹彩が青く見える。

メラニン色素が少しあると、散乱した青色にメラニンの薄茶色が混ざって、虹彩は緑色になる。ほかの色も、ユーメラニンとフェオメラニンの割合や、色素の大きさと分布具合などが混ざってつくられる。冒頭で思わずしみじみ語ってしまったエリザベス・テイラーのように、わずかに血の色が混ざってつくられるヴァイオレットの虹彩はきわめて珍しい。

青い眼はどうして青い?

なお、青い眼ができるには、眼球内部の脈絡膜(網膜と強膜の間の膜)にメラニン色素が多量に含まれ、光をほぼ完全に吸収することも重要である。そうでなかったら、眼球内部で反射した光が、虹彩で散乱した光に混じるので、きれいな青色にならない。それは、空が青色になる際に、背景が宇宙の暗黒だから成立するのと同じ理屈である。

乳幼児の白眼が青みがかって見えるのも、前述したように白眼の部分の強膜が薄く(その表面を覆っている結膜もきれいなので)、内部の脈絡膜の黒色がわずかに透けて見えて、蒙古斑と同様の効果をもたらしているからだ。

また、青色の眼のように虹彩のメラニン色素が少ないと、強い光線が虹彩を通過してしまうので、まぶしすぎてものがよく見えない。だから、そのような人々はサングラスをかけるのだ。もっとも、虹彩が濃い人でも、水晶体の白濁(白内障)を防ぐためにはサングラスをかけたほうがよいそうだ。

虹彩の色を決めている遺伝子はEYCL1とEYCL3であり、両方とも劣性(潜性)の場
合、青い眼になるといわれていた。しかし2017年になって、6000年から1万年前に黒海の近くの1人の女性に起こった突然変異から、青い眼がヨーロッパ中に拡がったとの研究結果が発表された。

【写真】黒海の近くの1人の女性に起こった突然変異がはじまり?黒海の近くの1人の女性に起こった突然変異からはじまった、とされる説が発表された photo by gettyimages

もしそうなら、単なる環境適応ではなく、ダーウィンが主張した性選択によって、白い肌と同様に急速に拡がった可能性がある。もっとも、ヨーロッパ人の起源に関する最近の研究によると、北ヨーロッパ人の大部分は、現在のロシア西部に住んでいた狩猟民らしいので、つまりは黒海の近くの青い眼を持った集団が大量に移住してきたとも考えられる。

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