スー・チー氏、初判決の後に待ち受ける計100年以上の「禁錮判決ラッシュ」

不条理な法廷闘争はいつまで続くのか
大塚 智彦 プロフィール

これまでの公判では、キン・マン・ゾー弁護士やミン・ミン・ソー弁護士、キー・ウィン弁護士らスー・チーさんの弁護団が公判の状況や関心の高いスー・チーさんの健康状態に関して報道関係者にコメントを出すのが通例だった。

反軍政の立場のミャンマー独立系マスコミや海外メディアは、弁護団からもたらされるこうした限られた情報をもとに公判の状況を伝えてきたのだが、10月14日、弁護団に対して「裁判に関する口外を一切禁止する」ことが言い渡された。

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理由は刑法144条の「誤った情報で公共の安全を脅かす恐れがある」というものだった。そのうえで「裁判所には対外的に発表を実施する部署があり、今後はそこが対応することになる」としたものの、裁判所が公判の様子を対外発表することはなかった。

このため、以降の公判の状況は一切外部に伝わらなくなり、6日の判決公判も弁護団からの情報はなく、ゾー・ミン・トゥン国軍報道官からの一方的な発表となった。

上訴するかどうかが焦点に

スー・チーさん側にはもちろん、今回の禁固4年(恩赦指示で禁固2年に減刑)に対して上訴する道が残されている。

ただ、仮に上訴しても上級審で無罪を勝ち取ることは極めて困難とされ、今後も法廷闘争を長期間に渡って続けるか、さらに上訴した場合に今回のような恩赦による減刑があるのか、弁護団は慎重に今後の対応を検討しているものとみられている。

 

今回、軍政が恩赦を与えたのは、内外の批判を交わす狙いがあったのだろう。しかし米政府や国際的人権団体「アムネスティ」などがいち早く「今回の判決はさらなる民主主義への挑戦であり、関係者の即時釈放を強く求める」などと批判したように、国際社会から期待通りの反応を得られないことは確実視されている。

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