スー・チー氏、初判決の後に待ち受ける計100年以上の「禁錮判決ラッシュ」

不条理な法廷闘争はいつまで続くのか
大塚 智彦 プロフィール

兵士や警察官の中には一般市民への実弾発砲に疑問を抱いて国境を超え離反したり、PDF側に寝返ったりするケースも増えているというが、軍や警察側の死者数とともにはっきりとした数字は軍政が明らかにしないため判然としない。ただし、人権団体や独立系メディアなどの情報を総合すると、離反者は約100人、死者は数百人に上る。

これに対して抵抗する一般市民の側の犠牲者は人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると2月1日以降これまで(12月5日時点の集計で)1308人に上っているという。

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今回のスー・チーさんの実刑判決に関して、裁判の内容を公表したのがゾー・ミン・トゥン国軍報道官、恩赦もミン・アウン・フライン国軍司令官と、共に軍人であることからもミャンマーでは司法の独立が確立されておらず、裁判所が軍政の支配下にあることを内外に示している。

こうした状況下、スー・チーさんがどこまで「不条理な法廷闘争」を続けるのか、また、軍政はどこまで早急にスー・チーさんの政治生命を絶とうするのか、主要都市や国境地帯で激化する戦闘の行方も含め、ミャンマー情勢はますます混迷の度を深めている。

 

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