オミクロン株が拡大…でも相変わらず「空港の検疫がPCRじゃない」日本の“決定的なヤバさ”

「抗原定量検査」がメイン

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大で、危機感が高まっている。最初にオミクロン株が見つかった南アフリカの科学者チームは、この変異株が再感染を引き起こす確率は従来の変異株の約2倍と推定。ブレークスルー感染の拡がりが懸念される一方、重症化の確率は低いとも言われる。

いずれにしても、オミクロン株の解析が進み、動向が把握できるようになるまでは、「水際対策」が重要なのは言うまでもない。ところが、空港の検疫では、感染の有無の判定を「抗原定量検査」で行っており、この検査で陽性だったり、判定ができなかったりした場合に「PCR検査」をしている。

成田空港〔PHOTO〕Gettyimages
 

新型コロナの検査方法で「PCRがベスト」とするのは世界の医学界のコンセンサスである。抗原定量検査では陽性者の「すり抜け」が増える恐れがある。肝心の検査がゆるゆるで、厳格な水際対策もないだろう。

新型コロナ感染症の流行が始まった当初、空港の検疫はPCR検査を実施していた。が、2020年7月、厚生労働省は「同等の感度(正しく陽性と判定する確率)と特異度(正しく陰性と判定する確率)があり、現場への負担(結果が出るまでの時間や、スタッフの感染リスクなど)を考慮」して、抗原定量検査に切り替えた。

厚労省は「同等程度の感度」とするが、国立感染症研究所は、「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)検出検査のRT-qPCR法と抗原定量法の比較」(IASR 2021年6月号)で、次のような見解を示している。

「抗原定量検査法は、(略)Ct(Cycle Threshold)値30以上(約500 copy以下)は陰性と判定される傾向にあることが分かった」。この一文は、抗原定量検査では、ウイルス量の少ない陽性者が「陰性」と判定されがちだと伝えている。ここに検疫での陽性者の「すり抜け」のリスクがある。

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