オミクロン株が拡大…でも相変わらず「空港の検疫がPCRじゃない」日本の“決定的なヤバさ”

山岡 淳一郎 プロフィール

その後、無症状者からの感染が常識となり、むしろ検査が広範に実施されないことに国民は不安を覚えた。結局、国民のなかでパニックが起きることはなく、2020年末~2021年春ごろから発症しても入院できず、自宅放置状態で命を落とす「医療崩壊」が顕著となった。

いくつもの感染拡大の波を受けても、PCR検査の数はなかなか増えず、今日に至っている。いまだに空港の検疫でPCR検査が排除されている背景には、このような厚労省と専門家集団の特異な意識に基づいた対応がある。

 

「楽観バイアス」が招いた危機

楽観バイアスは、検査の抑制だけでなく、医療の備え自体を弱め、重大な危機を招く。その典型が、東京五輪開幕前の菅義偉首相(当時)の事態を軽視した発言の数々だった。

2021年7月27日夕刻、菅首相は、官邸での報道各社とのインタビューで、「感染者のうち65歳以上の高齢者の割合は2%台で、30代以下がおよそ7割を占めている」と述べ、重症化のリスクは低いとの認識を示す。そして「人流も減っているし、そこ(五輪延期・中止)はない」と言い切った。

同日、東京都のコロナ対策の指揮官、吉村憲彦・福祉保健局長(当時)は、メディアへの説明会で「30代以下は重症化率が極めて低く、100人いたら、せいぜい10数人しか入院しない」と断言した。加えて「第三波の1月と比べれば格段の差があると思う。いろいろな医師に聞いた感覚的な話だが、まだ1月みたいな雰囲気ではない」と語り、こう言い放つ。

「いたずらに不安を煽ることはしていただきたくない」

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