2021.12.15
# 不動産

夫のうつ病で「4600万円のマイホーム」を手放し、自己破産…すべてを失った50代女性の悲劇

太田垣 章子 プロフィール

優子さんはそれだけは何とか回避したいとご主人への説得やケアもがんばりましたが、結局は離婚し、双方で破産。

家を失った優子さんは、50歳を超えても雇ってもらえたビル清掃とパートタイマーの仕事を掛け持ちして日々を過ごしています。ふたりの子どものこれを機に一人暮らしを始めました。優子さんの自宅でお料理教室を開くという夢はあっけなく消えてしまいました。

失敗しないための鉄則

一般的に不動産は決して安い買い物ではないため、住宅ローンは、夫婦で臨む「長期戦」となります。マイホームが夫婦の結束を強めることもありますが、ここで挙げたケースのような逆の場合も少なくありません。


京子さんと優子さんに共通する失敗は大きな借金を共に背負っていく運命共同体としての見極めの甘さと覚悟の欠如でした。

まずは夫婦でよく話し合いましょう。おふたりの価値観、お金のこと、生きる上での優先順位や家族として暮らすための必要な備えなど、それらを多少の我慢をしても家を買いたいとなれば、頭金と購入金額を決めます。

そうして生活を切り詰めながら、頭金を貯めるということをやってみてください。そこでふたりの足並みが揃ってこそ、この人となら何十年かけての住宅ローンを払っていけるな、そうお互いに自信が持てるはずです。

逆に「予定通りには貯まらない」となれば、購入金額を下げるか、マイホームを持つという覚悟がまだできていないのかもしれません。頭金を貯めるということは、夫婦が結束を強める助走期間とも言え、大きな買い物をする時の、とても大切なクリアすべき課題だと感じています。

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また金利が低くなったこともあり、高めの物件を購入している人が増えた印象です。でもこれも危険です。まずは年収の3倍から5倍くらいの物件で、ヤドカリのように大きくしていく手法も安全かもしれません。


ここで、裕福な医者の家庭で贅沢に育ち、兄弟も同じような環境でありながら、自分は年収は低いけれど大好きな相手と結婚したいと26歳で決断した聡子さん(仮名)の例を紹介したいと思います。

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