2021.12.16
# 科学

“銀河を支配”するのは効率が悪すぎる!? ダース・ベイダーが抱える意外な「大問題」

飯田 一史 プロフィール

「違う時間の同じ場所」に狙って行くのは難しい

――タイムトラベルやファーストコンタクトなどSFだと定番のネタはいくつもありますが、高水さんはどういうテーマに一番関心があるのでしょうか。

高水 おもしろいと思っているのはタイムトラベルですね。もちろん、タイムマシンの研究をしている学者は現実にはいないと思うんですけれども。物理学的に言うと、時間を戻すには時空のある点から別の点を直結させるワームホールを使うか、『12モンキーズ』のように物質を量子的に分解して運んで送った先で再構成するかのどちらかだと思います。

時間と空間を一体のものとして扱う「時空」という概念がありますが、この時空上の異なる場所を結ぶような、ワームホールという数学的な解は実際に存在します。

また「量子もつれ」という量子力学の現象を用いて、離れた点での移動が現実的に観測されています。これは量子テレポーテーションと呼ばれていて、現在は、単に量子という素粒子の移動ですが、これを拡張していくと、原理的には原子でできているものはすべてこの移動が可能となります。

もちろん、どちらのやり方にしても「現実に可能か?」というとさらに色々な条件が付きますが。

――本の中で「物理法則を示す方程式は過去へも未来へも向かう現象として描かれているのに、現実には、未来に向かう現象だけが現れているのが不思議だ」と書かれていたのが印象的でした。

高水 数学的には時間が過去に向かう現象は禁止されていないし、量子コンピュータでは時間が戻る現象も見つかっています。時間を遡る映画といえばクリストファー・ノーランの『TENET テネット』ですけど、あれ、難しくてわけわかんないですよね? 僕もそう思います。

――(笑)。

[PHOTO]iStock
 

高水 だけど物理の視点から言えば、「時間が戻る」という現象がどういうものなのかという話自体は難しくないんです。コップを手から離して落ちることの逆戻りで、コップが倒れたのが元に戻るだけなので、何も起こっていないのと同じです。結論が先に出ていて、そこから原因に戻るという因果があるだけ。つまり、ある意味では驚きがない世界なんですよ。それをSF映画で扱ってあんな風に映像にしたノーランの着眼点がすばらしい。

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