一方、妻が1000万円以上の財産を持っている場合もあるだろう。こうしたケースでは、下の表の(2)パターンのように、夫だけでなく妻も子供に暦年贈与をするとよい。
注意が必要なのは「いつ」渡すかだ。今の生前贈与制度が確実に使えるのは、今年12月31日までと来年中の2回だけ。まずは銀行の最終営業日である12月30日までに、110万円の送金手続きを済ませよう。一人一人の口座に振り込むのは時間もかかるので、2日に分けて実施してもいい。
そのうえで、贈与契約書を作成する。書き出しは「贈与者●●を甲とし、受贈者△△を乙として、甲乙間において次のとおり贈与契約を締結した」という定型文だ。遺言書ではないので、パソコンで作成してもOKだ。
続いて「第1条甲は現金110万円を乙に贈与することを約し、乙はこれを承諾した」と書き、「上記契約を証するため本証書を作成し、各自署名押印する」と結ぶ。後は日付とそれぞれの署名、住所を書いて印鑑を押し、振り込んだ預金通帳のコピーを付けるだけ。1日あればできる作業だ。
孫や嫁など、渡せる相手が少ない場合には、表の(3)110万円を超える贈与をするという選択肢もある。