12月10日 日本で非常に条件の良い皆既月食が観測される(2011年)

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

2011年の12月10日、日本全国で皆既月食が観測されました。この皆既日食は部分食のはじめから終わりまでを綺麗に観察することのできる、非常に良い条件の月食でした。日本の多くの地域で天候にも恵まれ、また月が高く昇ったところで月食が起こったため多くの人が観察することができました。

そもそも月食とは太陽、地球、月の順番で一直線上に並んだときに、地球の影が月を覆い隠すことで起きる天文学的現象です。ただし、地球から見た太陽の通り道(黄道)と月の通り道(白道)が微妙に傾いているため、タイミングが良い時にしか起こりません。

Illustration by iStock

あまり知られていませんが、太陽が作る地球の影には「本影(太陽光がほぼ完全に遮られている影)」と「半影(本影の周りにできる薄い影)」の二種類があり、月を隠す影がどちらの種類かによって月食も二種類に分けられます。

しかし、半影が月を隠す「半影食」は影が薄いこともあって肉眼で見ただけではどのように月が欠けているかわかりにくく、一般に「月食」というと、そのほとんどが本影が月を隠す「本影食」を指しています。

また、月の欠け方によっても「皆既月食」と「部分月食」の二種類に分けることができます。2011年の月食は皆既月食でした。

ところで、日食と違って夜でなければ見られない月食ですが、「地球の影で月が隠れるのであれば何も見えないのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際皆既月食が起こった夜空では赤黒い月を見ることができるのです。

この理由は光の波長の違いにあります。太陽から放たれた光は連続する様々な波長の光によって構成されています。そのうち、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱れやすく、地球の周りを通過するときにそのほとんどが大気を通過することができません。

それに対して波長の長い赤い光は散乱が弱く、大気を通り抜けることができるのです。そして、大気がレンズのような役割を果たすことで赤い光が地球の大気で屈折して月を照らし、赤黒い月が観測されるのです。

2018年に撮影された皆既月食の写真 Photo by iStock

このような「波長と比べて十分に小さな粒子による散乱」のことを、発見したイギリスの物理学者の名前から「レイリー散乱」と呼び、これは昼間の空が青く見える原因でもあります。

逆に「光の波長と同程度の大きさの粒子による散乱」を「ミー散乱」と呼び、こちらは雲や水蒸気が白く見える原因です。その名前も同様に発見したドイツの物理学者の名前にちなんでいます。

国立天文台によると、次回日本で見ることのできる皆既月食は2022年11月8日に起こるようです。