2021.12.16
# ビジネス

ボーナスをアップしたところで、社員の「生産性」は上がらない“科学的な理由”

斉藤 徹 プロフィール

新しいモチベーションの時代へ

ダニエル・ピンクは、時代とともに効果的な動機づけは変化するとして、モチベーションを3つの段階に分けて説明している。

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モチベーション1.0は「空腹を満たしたい・子孫を残したい」など生命維持に必要な行動で、最も根源的な動機づけといえる。

続くモチベーション2.0は「給料を上げたい・出世したい・叱られたくない」など、報酬と処罰による動機づけだ。

最後のモチベーション3.0は「仕事が楽しい・もっと成長したい・素晴らしい作品をつくりたい・人の役に立ちたい」など、自らの内面から湧き出てくる自発的な動機づけだ。

モチベーションの変化は社会の成熟度によるところが大きいが、もうひとつ見逃せないのが仕事の質的な変化である。100年前の仕事の多くは、工場の流れ作業のように決められた手続きの作業をこなすことだったが、そのような単純作業は機械やコンピュータがこなすようになったために、人間の役割は複雑さを増してきた。

 

賞罰による動機づけは、ルーチンワークには非常に効果的だが、クリエイティブワークに適用すると逆効果になってしまう。2005年のマッキンゼー調査によると、米国で新たに生まれる仕事の70%はクリエイティブワークだった。

それからも知識社会は大いに加速している。安易に賞罰を用いると生産性を下げてしまう時代になったのだ。

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