2021.12.16
# エンタメ

フジ『バイキング』終了発表…業界内外で『いいとも』回帰が熱望される3つの理由

ブランド回復のチャンスを活かせるか
木村 隆志 プロフィール

当時は生活情報バラエティの全盛期

まずは『バイキング』がスタートした2014年春のテレビ事情を振り返ってみたい。

当時は現在も続く『有吉ゼミ』(日本テレビ系)や『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日系)がスタートしたばかりで、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)や『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)も人気は健在。さらに『あのニュースで得する人損する人』(日本テレビ系)、『駆け込みドクター!』(TBS系)、『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)なども放送されていた生活情報バラエティの全盛期。「世帯視聴率を稼ぐためには、雑学を含む生活情報バラエティを作るのが近道」と考えるテレビマンが民放各局にいた。

だからこそ『バイキング』も、当初は「笑いと情報をとりホーダイ!」というコンセプトの生活情報バラエティだった。

ちなみ4月1日の初回放送では、MCをEXILEのTAKAHIROとNAOTOが務め、火曜レギュラーとして江角マキコ、すみれ、友近、平成ノブシコブシ、小籔千豊、ビッグダディが出演。坂上も月曜の曜日MCを務めていただけで、内容は裏番組の『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)に似ていた。

 

その後、『バイキング』は2016年4月に現在の討論系トークバラエティに変わって放送時間が倍増し、昨秋からはさらに55分増えて約3時間番組に拡大。スタート時から約3倍の大型番組になって現在まで続いているが、昨春の視聴率調査リニューアルでテレビ業界の風向きが大きく変わった。

それまでは日本テレビを除く民放各局が、世帯単位で測定する世帯視聴率を重視。だから前述したように、人口が多くテレビ視聴習慣のある中高年層が好む生活情報バラエティが多かったのだ。

しかし、昨春の視聴率調査リニューアルで、個人単位で測定できる個人視聴率が日本全国で採用され、各局はスポンサーを集めやすい10~40代に向けた番組制作をスタート。お笑い要素の濃いバラエティが急激に増え、ファミリー向けのクイズ番組が存在感を見せる一方、中高年層向けの番組は改編期ごとに減っている。

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