――すごいですね。そういうふうに意外にスムーズに終わる手術がある一方で、難しいタイプの手術というのも、やっぱりあるんですよね…?
はい、私はシンゲ(心臓外科)の手術をすごく難しく感じていました。最後まで苦手で、つらかったですね。心臓の手術は、患者さんに人工心肺を繋いでおく時間がなるべく短いほうがいいといった事情があるので、時間的な制約がすごく大きく、プレッシャーがかかります。機械の種類もとても多いです。
それから、これは手術の種類によらないことですが、「急変」はやはり怖いですね。もちろん事前に、患者さんにどのような変化が起きるかについての想定はできるだけしているんですが、それでも、血管を大きく傷つけたり、心臓が止まるといったことがあったりすると焦ります。
新しい器械を準備したり、人工心肺を新たに用意したり、場合によっては、ほかの科の先生(医師)を呼んできて、急遽手術に入ってもらったりすることがありますからね。そういう対処をしているときのストレスは大きいです。

勉強の日々
――前回のインタビューで、オペ看の仕事は、看護学校ではほとんど学ぶことができないとおっしゃっていました。就職後にいろいろ勉強をされるのでしょうか。
はい。たとえば、手術中に先生に薬をわたす必要がありますが、手術の種類に応じてどのような薬を使うかを、病院の図書室から本を借りてきて勉強したりします。患者さんの命に関わることですから、きちんと薬の機序(どのような薬が経路で作用するか)も知っておきたいので、勉強することはたくさんありました。