止まぬ中国のジェノサイド…バイデン大統領が決断した「北京五輪外交ボイコット」の真実

本当に“怒り心頭”なのか?

バイデン米政権のジェン・サキ大統領報道官は12月6日、ホワイトハウスで行われた記者会見で来年2月から開催される北京冬季五輪・パラリンピックの「外交ボイコット」を明らかにした。

サキ報道官は「中国が新彊ウイグル自治区で続けているジェノサイド(民族大量虐殺)や人道的犯罪、その他の人権侵害を考慮した」と、その理由を挙げた。

ジョー・バイデン大統領は上院議員、副大統領時代を含め一貫して人権の尊重を訴えてきた政治家として知られる。そのバイデン大統領が9~10日に110カ国・地域からの参加を得て主催した「民主主義サミット」(オンライン形式)直前のタイミングを計った上での「外交ボイコット」表明であったことは自明である。

ジェン・サキ大統領報道官

8日付朝刊の新聞各紙の見出しも、そうした観点から報じている。日本経済新聞の見出し「米中、五輪でせめぎ合い―外交ボイコット、対立先鋭化―同盟国の同調焦点に」、朝日新聞:「『人権譲らぬ米』前面―『弱腰』との批判回避、他国の追随中国は警戒」、産経新聞:「五輪外交ボイコット表明、人権 同盟国の協調焦点―米国内、全面不参加論も」、読売新聞:「北京五輪外交ボイコット―米、人権侵害に抗議―中国反発『対抗措置』表明」――などからも分かる。

 

では、バイデン政権は本当に中国の人権弾圧に対し怒り心頭に発して「外交ボイコット」に踏み込んだのか。ホワイトハウス記者団の質問に答えたサキ報道官の発言をチェックしてみる。

「The Biden Administration will not send any diplomatic or official representation to the Beijing 2022 Winter Olympics and Paralympics Games given the PRC’s ongoing genocide and crimes against humanity in Xinjiang and other human rights abuses.」

記者はboycott(ボイコット)という言葉を繰り返すが、サキ報道官は一度も使わず「外交官、または政府代表を派遣しない」との表現に留めた。

中国側の反発を最小限に食い止めるために「寸止め」にしたのである。もちろん、それには理由がある。その一つは、米国務省はこの「外交ボイコット」について、英国、オーストラリア、カナダなどの「ファイブ・アイズ」(英語圏諸国)に加えて欧州連合(EU)主要諸国と共同歩調を取り、同時発表を模索していたが、各国の足並みが揃わなかったことである。

 
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