人や地球環境、社会に配慮したフードってなんだろう。見る目の確かな誰かが、実際にリピートしているものが知りたい! “あの人”が愛してやまないSDGsなフードアイテムをここで一挙にご紹介します。今回は、調味料・保存食・乳製品と卵のジャンルをピックアップ!
Seasoning
持続可能な生産方法で作られた調味料
おいしい塩のためにきれいな海を守りたい
レストラン〈IMPECCABLE〉シェフ
大坪慎一さんセレクト
「母の海の塩」

長崎県・野母崎樺島町の先端、樺島にて、天草で師のもと塩つくりの修業をしていた加藤笑平さんが作る塩。塩炊き小屋は廃材で建て、鉄製平釜は自分たちで溶接。廃材を焚き、潮流がよいため栄養分豊富な海水を炊いて作っている。手描きのパッケージも魅力。
Otsubo's Comment
「画家でもある友人が塩を作るのにこの土地を選んだのは、海がきれいだから。つまりおいしい塩を食べたかったら、きれいな海を守らなくちゃいけない。近所の漁師から魚を、農家から野菜を、塩炊き屋から塩をわけてもらっていると、そんな気持ちが強くなります」
野生の風味をそのまま生かした絶品ケッパー
〈call〉マーケットスタッフ
吉田留衣さんセレクト
「アリアンナ・オッキピンティのケッパーの塩漬け」

シチリアを代表する自然派ワインの生産者〈アリアンナ・オッキピンティ〉。こちらはイブレオ山麓に自生する野生のケッパーのつぼみをトラーパニ産の海塩で漬けたカッペロ イブレオ。極限まで塩を減らして作っているため、製品には塩の粒がほぼない状態。
Yoshida's Comment
「彼女が作るワインと同様に素材に極力余計なことをせず、その土地を感じさせる味が魅力。塩抜きの必要がないため、香りが豊かでフルーティなのがいい。ときどき完熟した実が入っているのもうれしいんです」
いろいろ野菜のディップにもおすすめ!
「PAPERSKY」編集長
ルーカスB.B.さんセレクト
「ここくのみそ」

在来種の裸麦と極小黄大豆を無農薬・無肥料の輪作自然栽培で育て、無添加・天然醸造で仕込んだ麦味噌。自ら海に船を出して海水を採取、2日間釜炊きして精製した天然塩を使い、旨味と深みのある味に仕上げている。9%という低塩分で体にもやさしい。
Lucas's Comment
「グラフィックデザイナーでもある生産者・加藤潤一さんが原料から作る麦味噌。彼が宮崎に移住して農に携わり、味噌の加工を手がけるまでのストーリーにも感動して、味わい深くいただいています。味噌汁も好きですが、最近はナスの味噌炒めによく使ってます」
魚醤が苦手な人もきっと好きになる上品な味!
出張料理人
岸本恵理子さんセレクト
「片口屋の氷見寒ブリ 鰤醤」

生産工程で産出されるものはほとんどすべて有効活用している鰤の魚醤。速醸法のため副産物である油分と滓(かす)に塩分がなく、鶏の餌や肥料に再利用可能。油分は乾燥おからと混ぜて富山県内の養鶏場で餌に、滓は米ぬかと混ぜて有機農業の肥料に使用している。
Kishimoto's Comment
「氷見の寒鰤だけを使っていますが、身ではなく、鮮魚店がごみとして業者に回収を頼んでいた鰤の内臓を利用し、発酵させて製造。魚醤独特な臭いの元となる油分を除去し、塩分を抑えているので、ほかの魚醤よりもかなり柔らかく、透明感のある風味が好き」
原料と仕込み期間は2倍という贅沢な醤油
レストラン〈LA GODAILLE〉シェフ
品田大輔さんセレクト
「大正屋醤油店の国内産丸大豆醤油三年熟成」

島根県・安来市産のエコファーマー大豆、島根県産または山口県産の小麦、天日塩のみを原料に、生醤油に麹を再度加えて発酵・熟成。昔ながらの杉桶で時間をかけ醸造され、まろやかな味が特徴。ほかに米だけを使った「純米しょうゆ」などもある。
Shinada's Comment
「お米を注文した農家さんのおすすめで知りました。島根はおいしいものがたくさんあるから……と気軽に注文したのですが、使ってみたら旨味が強く、期待以上のおいしさ! 焼いた餅にかけて食べたくなるような香ばしい醤油です」
昔ながらの方法で丁寧に作られたお酢は信頼がおける味
料理研究家
長尾智子さんセレクト
「三井酢店の古代米のお酢」

「静置発酵法」と呼ばれる伝統的な製法で醸造、熟成している〈三井酢店〉が、稲の原種である野生稲の特徴を受け継いだ古代米を使って作った酢。古代米の色素成分、アントシアニンが醸造によって美しいルビー色になる。酢飯も野菜の甘酢漬けも華やかな色合いに。
Nagao's Comment
「丁寧に作っているメーカーで、小規模な工房というイメージ。オンラインで購入できます。赤米を使ったルビー色の『古代米のお酢』のほか、すし酢や純粕酢も好き。普段買わないドレッシングやポン酢も味のバランスがよいので、贈り物にすることもあります」