どこにメスを入れるべきなのか

金融残高が“格差の固定化”につながる可能性があると前述した。それは、多額の金融資産残高が代々継承されていく面があることを指してもいる。
金融資産を得るために自らが努力した場合とは違って、努力せずに多額の金融資産を贈与あるいは相続することで、金融資産格差は解消されずに続いていく。
言い方は悪いが、「金持ちは何をせずとも、いつまでも金持ちでいられる」という状況を社会的環境の平等性や機会の平等性という観点からも考えてみる必要がある。
格差の是正を目標として、金融所得課税を考えるのであれば、贈与税や相続税のあり方についても、同様に検討を重ねていく必要があるのではないだろうか。