掃除機は「最後の手段」
また掃除機などで異物を吸い出す方法は、医師会のサイトでも「最後の手段」とされていて推奨はされていない。
サッシのゴミを吸い込むような細いノズルが必要であることと、喉の奥に差し込む前にスイッチを入れると舌を吸い込んでしまったり、ノズルの先でかえって異物を中に押し込んでしまったりする事例が見られるからだ。

しかし、生死の境目にある場合はそんなことも言ってはいられない。あらゆる手段を講じるべきだと考える人も多いだろう。あくまで購入や使用については自己責任にはなるが、ネット上には「吸引ノズル」として掃除機用に取り付けることのできる吸出し器具も販売されている。高齢者のいるお宅では事前に用意しておくというのも一案ではある。
何よりも、餅による窒息死を避けるには「予防」が重要。基本的なことではあるが、高齢者が安全に食べるためには、「餅を一口で食べれるように小さく切って少しずつ食べること」、「喉にはりつかないようにお茶などの飲み物や、お吸い物などで喉を潤してから食べること」、「ゆっくりとよく噛んでたべること」が必要である。
よく噛むことで唾液の分泌も活発になるため、スムーズに飲み込むことが可能になる。周囲の家族も見守りながら、よく噛んで食べているか確認することが大事なのだ。
毎年、孫や子供たちが正月に集まることを楽しみにしている両親たちが、一人寂しく餅を食べてしまい、喉に詰まってしまう事故に遭うことだけは避けなくてはいけない。少なくとも電話で声掛けをして、餅のリスクと事故の予防に関することだけは伝えておく必要がある。