2021.12.18

子どもを遺伝子レベルで「有能」にする…「優生学2.0」というヤバい発想の正体

技術の「加速」の結果…

急激な技術革新によって、人間の脳や遺伝子にまでも介入することが可能になりつつある現在、「優生学2・0」とでも呼ぶべき考え方が出現している。『裏道を行け ディストピア社会をHACKする』(講談社現代新書)を上梓した作家の橘玲氏が解説する。

 

脳をエンハンスメントする

DBS(脳深部刺激療法)は頭蓋骨を開頭したうえで脳の特定部位に電極を埋め込む外科手術で、1950年代のアメリカで同性愛の「治療」に使われたことで批判を浴び、ロボトミーとともに葬り去られたが、近年、パーキンソン病の治療法として復権し、投薬や心理療法の効かない難治性うつ病に劇的な効果があるとして注目を集めている。

興味深いのは、DBSで認知機能が向上したとの報告が相次いでいることだ。

ドーパミンを分泌させる報酬系(側坐核)を電気刺激すると幸福度が上がるので、不安障害やうつ病で試験が行なわれている。するとその副産物として、「言語能力から複雑な問題解決能力に至るまで」さまざまな認知領域が活性化された。記憶力を増強する効果もあり、ある研究では、「とうの昔に忘れていた人生の出来事が、力強い生き生きとした映像になってあふれ出してきた」という*1。

DBSを使って勉強や仕事のモチベーションを上げることも可能だ。

2013年に発表されたスタンフォード大学の実験では、もともと性格のちがう2人のてんかん患者の中帯状皮質前方部に電極を埋め込み、微弱な電気刺激を与えた。すると2人とも、「何かしなければ、何かに取り組まなければ」という強い持続的な意欲を感じたという。

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