『日本沈没』昭和版・平成版・令和版、それぞれに映し出された「圧倒的な時代の空気」
昭和、平成、令和、それぞれの「日本沈没」
TBSドラマ『日本沈没―希望のひと−』の最終話は2時間だった。
次週12月19日まで引っ張ると、漫才コンテストと時間が重複するので避けたのかもしれない。
およそ2話ぶんの長さになっていた。パンデミックが起こるのは最終話前のぶんだったのだろう。最後の最後は意外な結末だった。

『日本沈没』の原作は1973年に発表され、同年に映画化され、翌年には連続ドラマになっている。
また2006年には草なぎ剛主演で再び映画化されている。
1973年のもの、2006年のもの、それと今回の2021年のもの、つまり昭和ものと、平成ものと、令和ものに分けられるのだ。
映像化されたものは、それぞれ結末が違う(以下、すべての『日本沈没』の詳細をネタバレしています)。
小説『日本沈没』は日本列島がまるごと海に沈没してしまう物語である。
昭和の映像化(1973年の映画、1974年のドラマ)の結末はほぼ原作に近い。
日本列島はしっかりと沈んでしまう。日本国民は世界に散らばる。
映画の主演は藤岡弘で、ヒロインはいしだあゆみ。日本が沈没して二人は別れ別れとなる。
「地球のどこかで」と文字が出て、いしだあゆみはちょっと上等そうな列車の中にいて窓の外を眺めている。ヨーロッパ風味である。
藤岡弘は広大な荒野を走る貨車のなかにほかの難民たちが一緒に乗っている。こちらはアメリカ大陸のように見える。でもどこかは明らかにしていない。