2021年令和のドラマは、「皇室をどうするか」には触れなかった。
たしかに皇室というより、「日本国の象徴である天皇陛下」をどこに遷っていただくのか、というのは沈没する「日本国」の国家的問題だが、ドラマではスルーされた。
まあ、原作も映画も、ひとこと触れるだけであり、そのころスイス国は「永世中立国」として名高かったから選ばれたのだろう。政治色が薄い、という意味のはずである。
しかし2021年にいきなり「皇室はスイスへ」と言われたら、「え、なんで?」とおもう視聴者のほうが多そうである。だからスルーされたのだとおもう。
令和ドラマが描いた「神のおぼし召し」
そして2021年、小栗旬と杏の『日本沈没―希望のひとー』も、最後は列島は沈みきらなかった。
今回は若者が海底に突っ込んでいかない。
地球の動きによって勝手に止まった。言うなれば、神のおぼし召しである。
最後、青森と北海道、あと九州が残った。九州は北東部分(福岡県と大分県あたり)は沈んだが、あとは残った。
これはこれですごい最後である。
なぜか感動してしまった。
2006年のような「かつて標高が高かった部分」だけが残るのもリアルであるが、2021年の日本の中央部から沈み周縁エリアだけがかろうじて残った、というところに強くドラマ性を感じた。心動かされたのである。
全部沈まなくてよかった、とふつうにおもった。
ほっとした。
そういうところが日曜劇場はうまい。