日本は「占領国状態」…在日米軍「オミクロン株発生」で見えた、本当の立場

感染者数すらわからない…
半田 滋 プロフィール

米軍は17日、キャンプ・ハンセンの「健康保護態勢(HPCON)」を上から3番目の「B」に引き上げた。基地に出入りする際のマスク着用も義務付けたが、今回、クラスター発生が確認されるまで基地内でのマスク着用は任意だったことになる。

感染した米兵の検体提供を受け、日本側でゲノム解析をすることを申し入れた沖縄県に対し、米軍は個人情報保護を理由に応じていない。

沖縄県の玉城デニー知事[Photo by gettyimages]
 

感染者の情報は「ブラックボックス」

だが、感染症をめぐる米軍からの情報提供は、政府レベルの取り決めがある。

日米両政府は2013年1月の日米合同委員会で「在日米軍と日本国の衛生当局間における情報交換について」(2015年9月修正)を取り交わし、「人の感染症」について67の疾病を挙げ、「確認した場合は、可能な限り早期に通報する」ことで合意した。
疾病の中には「指定感染症」「新感染症」があり、新型コロナがこれらに該当するのは明らかだ。

米軍が非協力的なのは、米国内で新型コロナ感染者が爆発的に増え、米軍内でも感染者が続出した昨年3月、米国防総省が「新型コロナ・データの公表基準」を発出し、「運用上の安全への懸念から、(感染者の所属する)個別の部隊、基地、司令部での集計は公表しない」との方針を示したことが背景にあるとみられる。

感染者が増えた基地名や部隊名が明らかになることにより、米軍の戦力ダウンを察知されることを回避する措置だ。各国が協力して取り組んだとしても、打ち勝つことが困難な新型コロナに対し、米軍は自己都合を優先させた。

しかし、米国の建国記念日にあたる昨年7月4日、基地内外で大規模なパーティーが開かれた後、複数の基地でクラスターが発生。米兵の感染率は当時、全国一となっていた沖縄県民を上回った。

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