日本政府は東京にある在日米軍司令部に対し、情報提供を要請。これを受けて全国の米軍基地の感染者数の一覧表が在日米軍司令部の公式ホームページで公表されるようになった。ただ、基地ごとに人数が記載されているものの、更新は間が空いているうえ、回復した人は一覧表から削除されるため、感染者の総数を知ることはできない。

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感染した米兵の行動履歴となると、ほとんど闇の世界だ。沖縄県地域保健課によると、米軍から連絡があるのは基地の感染者数と感染が判明した米兵らが立ち寄った飲食店の名前だけだという。
担当者は「店に立ち寄った人物の名前はもちろん、性別、年代さえ言わない。複数で店を訪れたのであれば、濃厚接触者にもなるその同行者の行動履歴も追わなければならないが、その情報もない。該当する保健所には店名だけ伝えているが、これでは対策の取りようがない」とお手上げの状態だ。
沖縄県はオミクロン株を封じ込めるため、18、19の両日、沖縄市の県総合運動公園に設置した接触者PCR検査センターで、キャンプ・ハンセンの日本人従業員らを対象に無料PCR検査を行う。米軍の協力が得られない以上、自衛するほかないからだ。
オミクロン株の感染拡大が懸念される中、もはや沖縄県だけに任せていいはずがない。政府は水際対策として、外国人の新規入国を停止しているが、今回、キャンプ・ハンセンで発生したクラスターの例から明らかなように米兵は特別扱いとなっている。
まさに「不可侵」な領域
日米安全保障条約にもとづき、日本側には米軍に対する基地提供義務があり、米軍は日米地位協定にもとづいて様々な特権が付与されている。
米軍は、日本政府に対してはもちろん、基地が所在する自治体にも基地内部の情報を明らかにする義務はない。日本が「占領国状態」と呼ばれる所以である。