フランスのシンガーソングライター、ユーグレー・オーフナーの名曲にちなんで名がつけられたセリーヌ・ディオン。カナダ・ケベック州の小さな町に生まれた普通の女の子がプロデューサーに見いだされ、プロデューサーがすべてを賭けて彼女をスターにする。そして大人になった彼女は、唯一無二の理解者である彼と結婚し、いつまでも幸せに暮らす……。そんなシンデレラストーリーを地で行ったセリーヌ・ディオンだが彼女のハッピーエンディングには悲しい続きがあった。

セリーヌ・ディオンの半生を映画化した『ヴォイス・オブ・ラブ』が12月24日に公開される。監督・脚本・主演を務めたのはフランスを代表するマルチタレントのヴァレリー・ルメルシエ。2016年にセリーヌのコンサートを観て、すっかり彼女に魅了されたというルメルシエ監督に話を聞いた。

出典/セテラ ・インターナショナル 公式YouTube 
ヴァレリー・リメルシエ監督 (c)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l'huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga
 

あえて公式伝記映画にしなかった理由

セリーヌのライブパフォーマンスを観て以来、昼夜問わず何ヵ月も彼女の映像や音楽に熱中し、彼女にまつわるものをすべて読み漁ったというルメルシエ監督。しかし、監督はこの映画をフィクションにし、意図的に公式伝記として制作しなかった。主人公の名前もセリーヌではなく、アリーヌだし、夫を含むほかの登場人物の名前も変えられている。また、アリーヌが歌う曲はすべてセリーヌ・ディオンの曲だが、フランス人の若手歌手ヴィクトリア・シオが歌っている。セリーヌを敬愛し、彼女を正しく表現しようとしたルメルシエ監督がなぜフィクションにしたのだろうか?

監督はその理由をこう説明する。

「セリーヌ・ディオンは2人といないからです!最大限、事実に基づいた物語を作らなければいけませんでしたが、彼女からあえて距離をおいてリスペクトの心をもちたかった。それにより、現実に起きた出来事をより映画的に表現することもできました」

事実にルメルシエ監督流の解釈を加えた本作には、遊び心のある演出や小粋なセリフが随所に散りばめられていて、くすっと笑えるシーンが多い。並行して、セリーヌの知られざる孤独や苦悩も映し出されており、非常にエモーショナルな音楽映画に仕上がっている。

「セリーヌがこの映画を観たらきっと泣いてしまうから」とセリーヌのマネージャーはこの映画をまだ彼女に観せていないそうだが、セリーヌの夫の知人たちは監督に「カップルの関係や絆がうまく描けている」と話したという。

(c)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l'huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga