入国から10日で「不審死」…まだまだ知らない「入管」の深すぎる闇

ウィシュマさんだけではなかった

2021年3月、名古屋入管で収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡し、各種メディアで大きく報道された。この事件によって、法務省が管轄する出入国在留管理庁、いわゆる「入管」の虐待や人権侵害が、ようやく世間に明るみになってきたといえる。

しかし、ウィシュマさんの例だけが特別なのではない。明るみには出なくとも、こうした入管の人権侵害に苦しむ人はあとを絶たない。今回の記事では、入管施設に強制収容された「空白の10日間」ののちに死に至ったスリランカ人ニクラスさんの例から、入管施設の知られざる実態を紐解いてゆく。

Photo by iStock
 

入管の「地獄」を明るみに出した事件

留学生として来日したウィシュマ・サンダマリさんは、日常的に暴力をふるうスリランカ男性と同棲していたことが原因で学校を休みがちになり、学費も滞ったため退学処分となって在留資格が更新できなくなってしまった。ついに耐えきれず2020年8月に警察に助けを求めた。しかし、ウィシュマさんのオーバースティが発覚して本人が逮捕されてしまい、入管に収容されることとなってしまったのである。

ウィシュマさんは2021年に入ったあたりから、食欲を失くして食べても吐いてしまうようになった。実際、支援者が彼女に面会するときには、バケツを持参していたほどである。

しかし職員たちは詐病と疑っていたため、適切な対処を行なおうとはしなかった。本人や面会支援者も職員に、ウィシュマさんに点滴を打つよう求めたが、聞き入れられることはなかった。そして同年3月、自由の身になりたいという願いは叶わず、ウィシュマさんは還らぬ人となった。

日本のメディアは、ウィシュマさんの死のニュースをさかんに取りあげた。それまで外部の目に届かなかった密室の人権侵害は、このようなかたちで暴露されていったのである。しかしウィシュマさんが亡くなる以前にも、同様の事件は起こっていたのだ。

関連記事