2021.12.26
# ビジネス

銀座の高級寿司店が、あえて「回転寿司」にチャレンジした「深い理由」

若手職人の「育成の場」だった

寿司を回転させるようになったワケ

回転寿司は日本が世界に誇れるイノベーションだ。

家庭でも使える「アノーバ」のような真空調理(低温調理)器具や様々なものを泡状にする「エスプーマ アドバンス」、ワインの品質を保つ「コラヴァン」など、昨今の美食に科学は不可欠となっている。しかし、回転寿司のように、料理を自動的に配膳することを目的としたイノベーションとなると、世界でもほかに見当たらない。

Photo by iStock(画像はイメージです)
 

日本特有の食である寿司がなぜベルトコンベアで回るようになったのか。

関東大震災によって、職を失った寿司職人が東京から全国各地に広がり、にぎり寿司が伝播した。第二次世界大戦後には、大阪で立ち寿司が盛況となる。その大阪で寿司店を営んでいた白石義明氏は、店がとても繁盛していたので、もっと効率的に寿司を提供できないかと考えた。ビール工場で目にしたベルトコンベアから着想を得て、寿司に応用するべく、鉄工所の協力を得て開発を始める。

そして、1958年東大阪市布施にオープンしたベルトコンベアを備えた「廻る元禄寿司」が回転寿司の嚆矢となった。1962年にはベルトコンベアのシステムが実用新案登録されており、まさに発明であったといってよい。

2016年の経済センサスによれば、日本全国の寿司店は約2万店ある。しかし、日本標準産業分類では「すし店」という区分しかないので、ここからは回転寿司の数は正確にわからない。

大手4社を挙げてみると、スシローが約600店、はま寿司とくら寿司が500店前後、かっぱ寿司が約300店を展開。食べログにおける全国の「回転寿司」が約3800店あることを鑑みれば、回転寿司は日本全国にあるといってよいだろう。

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