相続のルールが大きく変化しようとしている。2022年に実施される法改正によって、早ければ来年4月から年間110万円までに定められた「生前贈与」の非課税枠が廃止される可能性があり、「今すぐ贈与したほうがよいのか」「本当に生前贈与ができなくなるのか」という戸惑いの声が上がっている。
財産を残された者たちに渡していくやり方が、根本から変わっていく――「贈与」は決してお金持ちだけの話ではない。
相続に注目が高まるなか、青年漫画誌「イブニング」にて連載中のマンガ「相続探偵」(原作:西荻弓絵、漫画:幾田羊)が大きな話題を集めているのをご存知だろうか。原作を担当する西荻さんは、『ケイゾク』 『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』『民王』など大ヒットドラマの脚本を手掛けた実力派だ。
人の数だけ相続があり、相続の数だけ事件がある…高齢化社会となった日本は、まさに大“争族”時代。本作では、相続にまつわるトラブル専門の探偵・灰江(はいえ)が難解な問題に挑んでいく――。そこには相続や遺言にまつわるヒントや気づきが大量に散りばめられている。
500万円を借り逃げ
本記事では灰江の事務所に持ち込まれた、驚きの相続トラブルを紹介する。
依頼人はIT関係のプログラマーとして働くAさん(44歳)。大学時代の恩師であるI教授がAIによる画期的な検索エンジンのプログラムを開発していて、その研究開発費として500万円を貸していたそうだ。
しかし、その恩師が1週間前に亡くなったことを知り合いづてに聞かされる。
「亡くなっても借金は相続されますし、500万も相続人に請求できますよ」
灰江はアドバイスするが、事態はそう簡単なことではないらしい。