小学校の通知表は中学受験にも影響することがあり、親も気にしないようにと思ってもどうしても気になる。そして「テストの点はいいのになぜこんなに評価が低いの?」などと驚くようなことや、その逆ももある。また、かつては通知表は相対評価だったため、優秀な子どもが集まっている学校やクラスにいると不利になるという状況もあった。現在は「絶対評価」に改められているはずで、テストの点数だけではなく、その子のやる気や言動も含めて誠実に評価するという動きにはなっている「はず」だ。

しかし、現状はそうとは言い切れないようだ。いったいどうなっているのか。ジャーナリストの島沢優子さんが現役教師に聞いた。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」今までの連載はこちら
 

終業式で気になるのは…

今年の12月24日はいわずもがなクリスマスイブだが、多くの小学校で終業式を迎える。つまり、小学生が通知表を受け取る日だ。

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思えば、第一子である長男が低学年の頃は親のほうも低学年。通知表の「A・B・C」評価に一喜一憂していた。Cがあれば「これって、うちらの頃の1とか2だよね?」とぎょっとしたり。Aが少ないとがっかりしたり。通知表一枚になぜあんなに揺れていたのかと、今となっては恥ずかしい。

私たち昭和生まれの親たちの時代は「相対評価」。小学生から5段階評価で、5はクラスに2人、4は7~8人、3は10数人などと人数が決められ、その内訳は子どもにも知らされる。したがって勉強はクラス内競争だった。それが自分の子どもの時代は「絶対評価」に替わった。ところが、親たちは私も含め、相対評価が体に沁み込んでいる。仲良しの友達と比べたり、兄弟で比べたり。なんだかんだと通知表はトラブルの元だった。「何事も一番であれ」みたいなパパもいて、妻であるママ友は「絶対評価をいくら説明しても理解してくれない」とぼやいていた。

その通知表に、実は先生たちも苦慮している。
「学期末に保護者に向けて出す通知表、いらないと思っています。特に小学校は不要です」
そう話すのは四国地方の小学校に音楽科教諭として勤務するA先生だ。