2021.12.25

性別、人種、年齢とかで区別されない「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」その驚きの世界

橘 みつ プロフィール

ほのかな灯りのなかで

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、季節ごとに展示内容が変わるのだが、今はちょうど、クリスマス仕様になっているらしい。クリスマスって、いまいち良い思い出が無い。幼稚園の頃にはもう「サンタは居ないので、買ってほしいものを言いなさい」と言われていたな…と、思い出してほろ苦い気持ちになる。

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説明が終わると、暗闇での「目」となってくれる白杖を選ぶ。おへそより少し長いくらいが使いやすい。何十本も刺さっている箱の中から、自分に合ったものを引き当てるまで苦労した。背の高い友人は逆に選びやすかったのか、さっさと済ませていてなんだかこっちが焦ってしまった。

受付さんがノックをして扉を開け、ほのかな灯りのついた小部屋の中へと促してくれる。

「あちらが、今日アテンドしてくれる人です。お願いしまーす」

いつもみたいに会釈しそうになって、慌てて声を出す。

「こんにちはー、お願いします」

「それじゃ、楽しんできてくださいね。いってらっしゃーい!」

と言い残して、受付さんが去る。ここからは、アテンドさんとわたし達、三人だけで進んでいくのだ。扉が閉まって、部屋の暗さを意識させられる。不安の割合が、暗闇の量に比例し始めていた。

***

白杖を選び、暗闇での注意事項をアテンドのタエさんから告げられた彼女たち。「純度100%の暗闇」のなかでの対話を通じて、今回橘さんがみえたものは、一体なんだったのか?  後編の「全盲の人は、こんな風に世界と向き合っている…「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の衝撃」でその詳細を明らかにする。

志村真介著『暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦』

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