日本国と日本政府は分けて考えるべき
2月28日公開の「1400年の歴史、世界最古の会社が日本に存在している…!」で述べたように「日本(ヤマト)」は、世界でも希有な非常に長い伝統を持った国だが「政府」は必ずしもそうではない。
鎌倉幕府の成立は、我々世代は「いい国つくる鎌倉幕府=1192年」と学んでいたが、最近は1185年に源頼朝が敵対していた平氏を滅ぼし朝廷から守護・地頭の設置を認められた年を「鎌倉幕府成立の年」とするのが通説であり、教科書でもそのように教えているようである。
鎌倉幕府の成立に関して、これほど揺れ動く理由を考察すると非情に面白いのだが、本題ではないので「鎌倉時代は何年からなのか」の記事などを参照いただきたい。
さて、1185年説をとれば、鎌倉幕府は1333年までの約150年ほどの間存続したことになる。
室町幕府も1336年に足利尊氏が「建武式目」という基本法を制定したときからを室町時代とするものと、1338年に尊氏が征夷大将軍に任命されたときからを室町時代とするものとがある。
滅亡については、1573年に15代将軍・足利義昭が織田信長によって京都から追放された時点とするのが一般的である。ただし、1588年に義昭が関白・豊臣秀吉とともに参内して、征夷大将軍の地位を朝廷に返上するまでとする考えもある。
色々な異説があるが、定説を中心に考えれば、室町幕府は240年弱続いたことになる。
江戸幕府は、1603年に徳川家康が征夷大将軍になったときに開府し、1867年に15代将軍慶喜が大政奉還したことによって閉じたといえる。260年余りの寿命だ。明治新政府は、1868年に明治と改元して成立したと考えてよいだろう。
問題は1945年の敗戦をどうとらえるかだ。米国に無条件降伏して占領され「公職追放」や「財閥解体」が広く行われたことを中心に考えれば、戦前の政府は滅亡したとも考えられる。しかし、「日本国憲法」が少なくとも形式上は「大日本帝国憲法」の改訂版であることを考えれば、現在も明治新政府が続いていることになる。
後者の基準で考えれば、2022年時点ですでに150年以上経過し鎌倉幕府と並んだ。いつ(明治新)政府が崩壊してもおかしくない。また、戦後から数えても80年目が目の前に迫っているのだから「政府は崩壊しない」などと考えるのは甘いのではないだろうか?