2022.01.12
# 政治

日本はアメリカという「ジャイアン」とどう付き合うべきか?いま必要な「したたかな外交」

米中衝突で、世界の勢力図が塗り替わる。アメリカ一極構造が終わり、世界が多極化する。そのとき日本は……。社会学者の橋爪大三郎氏と、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、近いうちに「世界史の分岐点」が訪れると予測する。そんな変化の時代にあって、日本はアメリカとどう付き合っていけばよいのか、対談集『世界史の分岐点――激変する新世界秩序の読み方』より、二人の分析と提言をお届けしよう。

なぜアメリカは外交で間違えるのか?

佐藤 アメリカ外交の特徴を、まとめてみましょう。

Photo by iStock

アメリカ人は、基本的に物事を見通すことが苦手な人たちです。たとえばロシアに関しても、専門家たちは、ずっと民主化すると思ってきた。ところが実際はそうなっていないわけで、読み間違えのしっぺ返しを、今、食らっている状況です。

EUとの関連でも、アメリカ人はドイツの役割を完全に勘違いしています。

たとえば、ドイツの外相がアジアについて「地政学」という言葉を使っています。輸出大国のドイツは、今までずっと経済的チャンスという観点からアジアを注視してきたが、今後は「経済」「地政学」「グローバル課題」の3つの観点からインド太平洋戦略を描かなくてはいけない、と明言しているんです。

第二次世界大戦の負い目があるはずのドイツが、地政学という言葉を公の外交で口にする時代になっている。これはドイツの帝国主義が強まっているということであり、そのドイツが「アジア人のアジア」なんていうことを言い出しているわけです。

現に2021年夏にはインド洋にフリーゲート艦を送り、日本や韓国、オーストラリアとの共同訓練や、この海域の監視活動に参加しましたよね。

こういうことを、アメリカ人はぜんぜん見抜けていません。中国ばかりでなく、今後、世界がどうなっていくか、アメリカが勝手に描いた設計図は実にとんちんかんなんです。ひょっとしたら正解がわかっていてわざと間違えているんじゃないかと思えてくるくらい、よく間違える。

橋爪 なぜ間違えるのでしょう?

 

佐藤 その原因は、アメリカの成り立ちにあると思います。アメリカという国は、イデオロギー先行型です。他国を見るときにもイデオロギー先行で理解しようとするから、相手の文化や、宗教がもつような内在的拘束力が皮膚感覚でわかりづらいのでしょう。

橋爪 努力しても、間違えないようにできないのですか?

佐藤 そういうことです。

SPONSORED