日本は「私のホーム」なのだから
ニュース報道やSNSなどを見ると、多くの日本人は「とにかく全ての外人を入国させないでくれ!」みたいなスタンスになっている。こんなに大勢の日本人が、この入国停止を賛成している限り、外国人の再入国は緩和されるわけがない。
もちろん、この9割の日本人は外国人が嫌いなわけではないし、差別しようとしているわけでもない。ただ、身近に困っている外国人の友達がいないだけだ。もっとこの現状に対する知識が浸透すれば、事態は変わる気がする。
この間、このテーマについて日本人の友達と話していた。彼女は、「まぁ、これは一時的なもんだから、大丈夫よ!」みたいなことを言った。しかし、私は日本を出たら、再入国ができなくなる可能性があると彼女に言ったら、「ええ? なんで? なんでアンちゃんは入国できんくなるの? アンちゃんは日本で暮らしているやん!」みたいなことを言った。もしかしたら、多くの人はこの程度の認識なのかもしれない。
外国人の入国停止を賛成している方の気持ちはよくわかる。せっかくコロナが落ち着いているのだから、もう増えてほしくない。日本は厳しくやっているから感染が広がっていないと思うのだろう。でも、より良い、よりフェアな対策がきっとあると私は思う。
日本で暮らしている数万人の外国人は不満で爆発寸前だ。現在は、アメリカ滞在の方は再入国ができるけど、いつ再入国停止がアメリカに広がってもおかしくはない。
「コロナ禍だってアメリカに帰るタイミングはあっただろうに帰らないのは自分の勝手だろう」と思う方もいるだろう。でも、不確定な「たぶん大丈夫」「たぶん帰ってこられる」と「たぶん」が多い決断は博打と同じだ。この不安が溢れる状況で、私は何があっても日本を出ない。たとえ今度は母が亡くなったとしても、アメリカに戻らないと決めている、いや決めざる得ないのだ。
コロナ以前、日本は外国人にとってすごく公平な国だと私は思っていた。でも、コロナになって一転、悲しい現実に直面した。一番人間に必要なものを、今、日本で暮らしている外国人は手に出来ていない。それは「安心」だ。10万円の給付金は確かにありがたいけれど、それより、安心して父の葬儀に行くことができる自由がほしい。この間、久しぶりに弟と話した。来年こそ父の葬儀をしたいと弟は言ったけど、私は行けるかどうか、現時点ではわからない。
それでも、私は日本をイヤにはならない。どんなに悲しい思いをしても、日本を嫌いにはならない。色んな寂しい思いもしたけど、それでも帰化する決意は変わらない。
私は母国のアメリカより日本が好きなのだ。アメリカに一生帰ることができなくても、幸せに日本で暮らしていけると確信できる。周りの友達には、そんな私の日本への愛情を認めてくれているから感謝している。けれど、日本政府はその愛情を認めてはくれない。
ここは「私のホーム」だ。私と同じ思いを抱く日本在住外国人はたくさんいる。日本の政府が、我々の思いを一日も早く認めてくれることを願うばかりだ。
