「役所が音源を保有していないはずがない」
その経緯を知るものにとって、事業企画課の人を食った説明は、さすがに黙認するわけにはいかなかったのだろう。

委員である株式会社政策工房社長の原英史氏は、「そんな説明はまったく理解できない」として、こう尋ねたという。
「音源は事業者のもので、事業企画課でもっていないというのはおかしい。役所が音源を保有していないなど考えられないことだ」
元経済産業省のキャリア官僚である原委員の疑問は、まったくその通りだ。
これに対し事業企画課は、壊れたレコードのように先の稚拙で空疎な説明を繰り返しただけだったという。
原委員の指摘にもかかわらず、増田部会長は「(議事録の)扱いは任せてほしい」と述べ、この日の部会を終了した。
かりに、事業企画課の手元に音源がなかったにしても、議事録作成の実務責任者である同課が、事業者から取り寄せればいい。それだけの話である。
仕事の発注者と受注者との力関係から言っても、音源の提出を求められ拒否する事業者などありえないからだ。