オンライン診療での処方も推奨されている

2020年3月にWHOがCOVID-19のパンデミック宣言を行ったとき、国際産婦人科連合(FIGO)は、中絶医療は「必須で時を待てない医療」であるととして、パンデミックの最中は経口中絶薬をオンライン診療で処方できるよう遠隔医療を導入し、経口中絶薬を自宅に郵送するなどして、本人が自己管理で服用するようにすることを推奨しました。

その後、1年間にわたって遠隔医療による自己管理中絶を実施してきた英連邦のイングランドとウェールズのデータ等を元に、FIGOは2021年3月にこの方法の安全性と有効性は確認されたと報告。その上で、「プライバシーも守れる優れた方法」と評価し、遠隔医療による自己管理中絶をパンデミック終了後も継続していくことを推奨したのです。

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「避妊」より「中絶」が先行した日本

日本が他国に比べて中絶・避妊の価格設定が高いのは、日本が世界と異なり、「避妊」より「中絶」が先行したことも一因といえます。

第二次世界大戦の敗戦で人々が貧困にあえぐなかで、兵士や満州等からの引き揚げ者が大勢帰国し、結婚ブームとベビーブームが始まって人口爆発の恐れが見えてきたことで、政府は1948年に優生保護法を制定し、条件付きではありながら中絶を合法化しました。当初は多少規制がかけられていましたが、1952年には医師一人の判断で中絶を行えるようになり、国に届け出があった数だけで年間100万件(実際は倍とも言われています)を超える中絶が行われる状況が9年間も続きました。

1951年の文献によると、当時の中絶費用は日帰り1000円、入院2000円でしたが、その頃の国家公務員の初任給は大卒で4000~5000円でした。決して安い料金だとは言えません。ちなみに、2010年に私たちが行った調査の結果では、妊娠初期の中絶の平均料金は10万円強、当時の大卒の初任給は18万円強だったので60年前より相対的に高くなっています