ロシアの「ミリ・ハラ」が止まらない…日本を“挑発”するプーチンの「本当の狙い」

鈴木 衛士 プロフィール

緊迫するウクライナとの関係

12月5日、米紙ワシントン・ポストは、米情報機関からの報告として、「ロシアがウクライナ国境に兵力を集結し、来年初めにも最大17万5千人規模の侵攻作戦を計画している」と伝えた。この兵力の集結については、11月2日にウクライナ国防省が、「ロシアは、国境付近とロシアが一時的に占領している地域に、総勢9万人を集結させている」と、発表していたところであった。

また、同紙は、米情報当局者らの情報として、「ロシアは現時点で、長期戦に必要な衛生部隊や燃料の供給ラインを直ちに立ち上げられる態勢にある。現在の装備は前線部隊で7~10日間、支援部隊なら最大1ヵ月の戦闘に耐えられると見られる」とも伝えている。

このような情勢に鑑み、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領が今月7日にオンラインで2時間会談した。この中で、バイデン大統領が「ロシアがウクライナに侵攻すれば、強力な経済的措置や、ウクライナへの防衛兵器の供与強化などを実施する」と警告したのに対し、プーチン大統領は、「NATO(北大西洋条約機構)がこれ以上東方に拡大したり、ロシアとの国境近くに兵器を配備したりしないよう法的な保証が必要だ」と、応じたことが伝えられている。

 

現在、ウクライナ東部のルハンシク州とドネツィク州の一部を親露派武装勢力が実効支配している。そしてこれは、この地域に住む60万人以上にも及ぶ住民らの(自らはロシア人だという自覚のもとに)ロシアへの帰属意識が強いことにも裏付けられている。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATO諸国の後ろ盾を背景に、同地域のウクライナへの復帰を目指して、親露派武装勢力の掃討を模索している。

ウクライナのゼレンスキー大統領/photo by gettyimages

おそらく、ゼレンスキー大統領がこの掃討作戦に踏み切る素振りを見せたり、NATO軍にウクライナを引き込むような働きかけを行えば、間違いなくロシア軍は動くだろう。米国などがいかに強力な制裁をちらつかせようとも、ロシア側に妥協の余地はない。この部隊集結は、決して脅しではないと見なければならない。

また、このロシア軍の臨戦態勢は欧州方面だけに止まるわけではなく、同じロシア国内である極東方面における軍事警戒態勢の強化にもつながり、ロシア国境付近の情勢を緊迫化させて、わが国周辺におけるこのようなロシア軍の行動に結びついているのである。これと同様な事象が、筆者の現役時代にもあった。

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