夕張の苦境に想う…都会人が言う「もう経済成長はいらない」は正しいか

無自覚に行われる「地方搾取」について
御田寺 圭 プロフィール

だがその真意を国や政府は語らない。「都市部の人口流入が多すぎて、都市機能の柔軟性が低下してしまうから/首都直下地震など大規模災害時のリスクが高くなるから」といったもっともらしい理屈を並べる。

 

SNSでは見えないこと

いまほど「想像力」が大事な時代はない。

東京をはじめとする大都市圏で、それなりに満たされた生活をしている人が、それでも「経済成長をやめてはならない」「豊かさを求めなければならない」とまっすぐ語るには、自分の微視的で短期的な肌感覚のリアリティを超える力が必要だ。SNS経由で見た現実でもなく、自分の主観的な生活者の視点でもなく、遠くのものごとを見ようとする力だ。

その力こそが「想像力」だ。

「東京がこんな豊かなんだから、もう経済成長なんかいらない。経済成長は地球にとって害悪なんだ」――といった言説が必ずしも真実ではないこと、普遍的な道徳ではないこと、これらを理解するためには、自分の見えている世界や世界観だけを絶対視しない「想像力」が必要だ。

インターネットやSNSといったコミュニケーション・インフラが、あるいはYouTubeといった視覚的情報を簡便に得られるツールが、人類史上かつてないほど発達した時代だ。自分の人生ではけっして交わるはずもなかった場所にいる他者の姿やその人生を想像することは、むかしよりずっと容易になっているはずだ。私たちは「想像力」を培うには、これ以上ないほど便利なツールに恵まれた時代に生きている。

……それなのに、かえって世界からはいま「想像力」が急速に失われている。

これほどたくさんの人の姿が見えて、かれらの言葉が届く世界なのにもかかわらず。

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