王毅外相が自画自賛する「2021年中国外交」…冗長な演説から見えた“3つの特徴”

2022年には一体何が起きるのか

中国外交を自画自賛

先週12月20日、王毅国務委員兼外交部長が、「国際情勢と中国外交検討会」で講演を行った。タイトルは、「2021年中国外交:天下を胸に抱き、国のため民のため実践する」

絶対忠誠を誓っているボスの習近平主席にならい、かなり長い講演だったが、いまの中国が思うこと、言いたいことが散りばめられている。以下、私見を交えながら、その要旨をお伝えしたい。

Gettyimages

まず、「世界は二つの異なった方向に向かっている。それは、分裂と対立をあおり、グループで対抗姿勢を築く(20世紀の)冷戦思考の復活と、もう一つは人類共同の福祉から出発し、団結協力に尽力し、開放共勝を唱え、平等尊重を実践することだ」と前置きした。

つまり前者は「悪のアメリカ」で、後者は「正義の中国」だと言いたいわけだ。その上で、のっけから次のように、中国外交を自画自賛した。

「中国は終始、歴史の正確な一辺に立ち、人類の進歩の一辺に立ち、国際的な公平と正義の一辺に立ち、広大な発展途上国の一辺に立っている」

「2021年の中国外交において、われわれは習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導のもとで、天下を胸に抱き、国のため民のためを実践し、全世界の局面の変化の中で新たな局面を創造し、世界の乱れた局面の中で危機を機会に変え、闘争と協力の中で勇敢に前進した」

 

習近平新時代の「大国外交」には、二つの特徴がある。一つは、常に「中国は正しい」という前提で進めていくことだ。もう一つは、常に「習近平主席」が主役となることだ。

王毅演説も、まずこの2点を踏まえて始まった。その上で、次の9点を強調したのだった。最初は、コロナ問題である…。

「第一に、世紀のウイルス蔓延からの復興に直面して、われわれは卓越した効果的なコロナ外交を展開し、大国が担当すべきことを立派に行った」

「習近平主席は大事な時に全世界でのワクチン協力行動を提唱し、『一帯一路』ワクチン協力パートナーシップ関係の提唱の発起人となった。中国が終始、国際的なコロナ対策の『中心の輪』に立つよう指導し、ワクチンは公共産品であるという『第一の属性』を矜持し、ワクチンが公平に分配されるよう『第一の隊列』を担当した」

「最も早く発展途上国とワクチン生産協力を展開し、これまで120以上の国と国際組織に20億回分近いワクチンを提供した。これは中国以外の全世界のワクチン使用総量の3分の1を占める」

中国が果敢にワクチン外交を展開したのは事実だが、それは多分に、「アメリカとのワクチン競争」という色彩を帯びたものだった。

今年年初に上梓した拙著『ファクトで読む米中新冷戦とアフターコロナ』(講談社現代新書)で予測したように、「先進国はアメリカ製ワクチン、発展途上国は中国製ワクチン」と、色分けされた一年だった。中国からすれば、ワクチンを使って発展途上国を取り込んでいった一年だったのである。

王毅氏はそうした状況を、「新型ウイルスは人類共通の敵であり、政治的な病毒はウイルスを残虐にする凶器である」と述べている。要は「アメリカが政治的病毒を撒き散らしている」と言いたいわけだ。この「アメリカ批判を遠慮しなくなった」ことは、今年の中国外交の第三の特徴と言えるかもしれない。

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