感染に敏感な人たちにとって、気になるのはマスクの種類だけではない。
仕事でやりとりする人たちの「マスクのつけ方」が気になると言うのは、出版社勤務のDさんだ。マスクは、顔に密着させて使用することでその感染防止の効果が高まることが知られているのだが……。
「取引先の方で、普段、不織布マスクをしてはいるんだけど、打ち合わせをしているとなぜか頻繁にマスクを少し下げて、気がつくと鼻が出ているという方がいらっしゃいます。何度か『鼻出しマスクは周囲の人への感染リスクを高めるし、ご自身が感染するリスクも高まりますよ』とお伝えしまして、そのときは一旦改善されたんですが、またすぐに鼻を出すようになってしまい……。
何度も注意をするのは失礼かなと思って、それ以上は何も言いませんでしたが、打ち合わせ中もマスクばかり気になってしまって」
……と、リスクに敏感な人たちのモヤモヤは止まない。
注意もしづらい
リスクに敏感な人であっても、ウレタンマスク・布マスクユーザーに面と向かって注意をするという人は、今回の取材の範囲ではほとんどいなかった。
リスク意識が人によって異なることは十分にわかっているから、あまり強く言うのもはばかられるということだろうが、しかし、強く注意をできないとわかっているからこそいらだちが募っている様子も見受けられた。
職位の上下のゆえに注意しづらいケースは、シンプルに、感染に敏感な人たちにストレスに拍車をかけているようだ。
では、一方で、ウレタンマスクや布マスクを使う側はどのような意識なのだろうか。【後編】「ウレタンマスク・布マスクをつけている人が語る「なぜ私は不織布マスクをつけないのか」」で詳しくお伝えしよう。