サステナビリティを学び、体感できる国内外の旅の特集号(FRaU2021年12月号)第一弾でクローズアップした徳島県。徳島といえば、阿波おどり、鳴門の渦潮、すだちなどが有名ですが、徳島生まれの著名人もたくさんいます。

徳島の女性=「阿波女」は、伝統的に働き者で明るく、自立心旺盛といいます。そんな阿波女スピリットを胸に社会に貢献する徳島育ちの女性、株式会社あわわ会長の坂田千代子さんをご紹介します。

坂田千代子
1959年徳島市生まれ。1983年に徳島の出版社「あわわ」に入社後、同社の成長に貢献。2003年に代表取締役、2012年から現職の会長に。自費出版を手がける「アニバ出版」の代表も兼任している。2018年に徳島経済同友会で初の女性代表幹事に就任した。著書に『阿波おんな元気語録』(ANIVA BOOKS)。

管理職の4割が女性。そんな地域を目指す

23歳で徳島の出版社「あわわ」に就職してから、その道ひと筋。坂田千代子さんは現在、「あわわ」の会長であり、また徳島経済同友会初の女性代表幹事としても注目されている。仕事への情熱は今も衰えることがない。

「高校では写真部で、出版社へのあこがれがありました。3年生のとき試験で悪い点数をとったのが悔しくて、将来は出版社で写真を生かして活躍するぞと心に決めたことをよく覚えています」

 

高校卒業後は東京の短大で写真を学び、フォトスタジオでアシスタントをしていた坂田さん。創刊2年目だったタウン誌『あわわ』で編集者を募集していると耳にし、Uターン就職した。しかし職場はオンボロアパート、月給は4万円だったという。

「就職先として考えたら、ふつうは絶対に選びませんよね(笑)。でも、私にとってはチャンスだと、編集者兼写真家としてがむしゃらに働きました。すごく楽しかったです」

仕事ぶりが認められ、入社3年目に編集長に就任。出産のため一度は退職するが、復職してからは制作部や営業部の仕事もこなし、社員として初の取締役部長も経験。その後、44歳で社長に抜擢された。

「ほかと比べれば性差が関係ない職業だったから、女であることで苦労した経験はないですね」