主にインスタグラムで「結局怖いのは人間だよね」というテーマで漫画を描き、53.8万人(2021年12月現在)のフォロワーがいる、ちなきちさん。今までは主にご自身の実体験を中心に漫画を作成していたそうですが、多くの方から「私もこんな怖い体験をしました!」「ぜひエピソードを漫画化してほしい!」という意見があり、現在はエピソードを公募し、漫画化したものを投稿しています。
その中でも反響を呼んでいるのが、子どもを連れて出て行った妻と、原因に全く心当たりがない夫の夫婦のすれ違いを描いた作品『僕と帰ってこない妻』。インスタグラムに投稿するたびに多くのコメントが寄せられています。
このまま仕事を辞めていいの?
ごくごく普通の夫婦に起きたすれ違いを描いた漫画『僕と帰ってこない妻』。主人公の和樹は「家族サービス」をしっかりするという自称イクメン夫。誰もが羨む円満な夫婦関係だったはずなのに、ある日突然「書置き」を残して妻の雪穂と子供が出ていってしまいます。当初は妻が出て行った原因がわからない和樹でしたが、部長宅でのBBQをきっかけに過去を振り返り始めます。思えば雪穂と和樹の関係性に変化があったのは、雪穂の妊娠が判明したときからでした。
雪穂のつわりが始まったことで二人の生活が一変します。雪穂はつわりで辛い状況の中、さらに「切迫流産」と診断されたことで、会社での立場が悪くなり情緒不安定な状態に。仕事が好きで、このままどんどん出世する可能性もあったのに、ついには「仕事をやめた方がいいのかもしれない」と言い出してしまいました。
いつも前向きな雪穂からは考えられない言葉。思わず何があったのか問いただす和樹でしたが、雪穂からは考えられない言葉が返ってきたのでした。
「私、存在しているだけでお店の足を引っ張っているんだって」
そんな酷いことを、誰が、どうして…。思わず感情的になる和樹でしたが、「本当のことだから」と雪穂に諭されるのでした。

このエピソードを投稿した際は「私も同じ体験をした」と共感の意見を多数いただきました。そして、妊娠中だけでなく職場復帰した後にも辛い思いをしたという方が沢山いらっしゃいました。子供が熱を出したから早く帰らないといけないなど、どうしようもない理由であっても仕事を早退することを陰で悪口を言われたり……。
想像するだけでつらい環境ばかりで驚きました。けれど、そのような言葉は回り回って自分に返ってきます。どんな状況であれ、当事者の気持ちをもう少し想像できる人が増えるとお互いに生きやすくなる気がします。
それでは続きをご覧ください。
