2022.07.29

「金正日がポメラニアンを贈ってきた」…北朝鮮庶民に“腐った資本主義の象徴”だった「ペット飼育」が爆発的人気になった特殊事情

北朝鮮の知られざる「ペット事情」

朝鮮労働党創建75周年を迎えた2020年10月、北朝鮮の平壌で行われた国家図書展覧会で2冊の北朝鮮図書「犬訓練指導書」と「犬訓練料理101種」が注目を集めた。

庶民が1日に1食すら食べられない状況で、愛犬書が出版されたことに国際社会が関心を持ったのだ。今回は、知られざる北朝鮮の愛犬事情について紹介しよう。

北朝鮮にはペット文化がある photo/gettyimages
 

北朝鮮の愛犬文化は1990年代初期から始まった。

それまで、ペットは資本主義の腐りきった文化の象徴とされていた。北朝鮮の宣伝メディアは資本主義社会の愛犬用品売場や愛犬用美容室を「腐った資本主義世界の象徴」と批判し、人間より犬を大切にする世の中が「資本主義の素顔だ」と住民に知らしめていたのだ。

1992年4月15日、金正日は80歳の誕生日を迎えた金日成にペット犬をプレゼントしたが、西側文化に懐疑的だった金日成は「(ペットのプレゼントは)私が死んだ後にしろ」と言って断ったという。

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