困惑する北朝鮮党幹部たち
さらに金正日は、姜錫柱と会う度にプレゼントした犬のことを聞いてくる。
悩みを抱えた姜錫柱が、金正日に正直な気持ちを話すと、金正日は愛犬調教師をつけて姜錫柱夫婦の愛犬を督励したと北朝鮮消息筋は伝えている。

北朝鮮の愛犬文化は、金日成が死亡した1994年7月8日以降、本格化した。
金日成が晩年、暮らしていた主席宮で飼われていたペットが、中央党副部長以上の党幹部に贈られた。ペットは「腐った資本主義の象徴」という洗脳を払拭させる出来事だった。
当初、党幹部らは、金正日から贈られるペット犬に困惑した。
犬好きと犬嫌いで明暗が分かれたが、海外に派遣された外交官や貿易関係者が、ペットショップに出入りする回数が多くなった。
自分らに目をかけてくれる党幹部から愛犬用品や餌、愛犬用医薬品などを頼まれたのだろう。金正日も自身がペット犬を贈った党幹部に輸入した外国製のペット用品や餌を贈っていた。
また、この頃から一般住民の間でも資本主義の象徴とされていたペット犬を育てる愛犬ブームが始まった。