90年代のペットブーム
一般住民の中では、中国と国境を接する国境沿線地域が最も盛んだった。
中国から持ち込んだペット犬を育てて仔犬を売った収益で1995年から1998年に北朝鮮を襲った最大飢餓「苦難の行軍」を乗り越えたと言われるほどブームが広がった。
平壌から始まって、中国に隣接する国境沿線地域から広がった愛犬ブームは、2000年代に入ると鎮まった。
飼育環境のためである。

多くの家がペット専用飼料ではなく、家族の残飯を与えていた。家の中はペットの臭いで溢れたし、ペットの寿命も短かった。
動物病院がなかったので、病気になったペット犬の治療は不可能だった。
劣悪な飼育環境から、ペット犬の飼育を経験した住民が、2度と飼いたくないと考えるようになり、ペットの価格が下がったことから、ペット犬を分譲交配(ブリーダー)していた人々が生計を維持できない状況になったのだった。
その北朝鮮で、2010年代から再び愛犬ブームが起きている。ペット犬に対する住民の認識が変化したのだ。