北朝鮮で「犬の本」が出版されたワケ
1990年代のペットブームは、好奇心と金儲けの手段だった。
しかし、2010年代のブームは、人生をともにする伴侶犬という認識の転換から広がった。
北朝鮮消息筋によると、外国のドラマや映画が影響を及ぼしたという。
2回目の愛犬ブームで、犬食を忌避する傾向が現れて、不満や寂しさ、兵営などのストレスをペット犬に癒される人々も少なからず出てきた。
飼育環境も変化した。 ペット犬の餌が残飯から愛犬飼料に変わったのだ。
ペット用品や餌はもちろん、ペット犬専門の動物病院も作られた。大成山管理指導総局が運営する獣医動物病院とペット用品専門店だ。

平壌市大成区域大成山地区にある大成山管理指導総局は平壌の中央動物園と大成山遊園地を管理・運営する国家機関で、北朝鮮唯一の動物病院とペット用品店を運営している。
金正恩時代に入ると、ペット犬への関心がますます高まって「犬訓練指導書」と「犬訓練料理101種」が出版された。
腐った資本主義を象徴する文化から流行に急浮上した北朝鮮の愛犬文化。無視したくても無視できない世界的な流れに逆らうことができない文化なのだ。
後編記事『北朝鮮の「闇」…平壌「超高層マンションに住む人」たちの“知られざる特殊生活”』では、さらに知られざる北朝鮮の“住民たち”についてレポートしていこう。