雅子さまのローブ・デコルテ
1993年6月9日、皇太子妃殿下雅子さま(当時)は、結婚の儀は平安装束の正装で行い、朝見の儀やパレードは女性皇族の第一礼装であるローブ・デコルテに、美子さまから代々受け継がれているダイヤモンドのティアラなどを身に付けました。

ローブ・デコルテは森英恵のデザインで、納采の儀で小和田家へ贈られた生地「明暉瑞鳥錦」が使われました。朝見の儀ではローブ・デコルテに象牙扇子やハンドバッグを携えていますが、一般的なウェディングドレスに見られるようなトレーンやヴェール、そして、ブーケはありません。


明治時代に洋装化が始まって、100年余り経ちますが、皇室ファッションはわたしたち日本人にとってフォーマルウェアの規範となりうるようで、独自性も備えています。日本では、1960年代後半頃から、ウェディングドレスが普及しましたが、マント・ド・クールやローブ・デコルテの伝統を受け継ぎながら、皇室の儀式に叶う現代的なウェディングスタイルを披露されたのでしょう。伝統の多くは明治以降に創設されたとも言われるように、皇室にも革新的な面と伝統的な面があることを示唆しているのかもしれません。

今回は、雅子さまと同世代の王妃たちのウェディングドレスとブーケに着目してみましょう。