筑波大学付属高校から東大を卒業。才女として様々なメディアで活躍する山口真由さんは、高校受験のために札幌から上京し「東京の進学校に通いたい」という夢を見事に叶えた。いまでこそ受験について様々なメディアでアドバイスもしている山口さんだが、高校受験はハプニングの連続だったという。自分の意思で選択し、人生を変えることができる「受験」。高校受験のエピソードを通して、山口さんから受験生へのメッセージをお伝えする。

順調とは言い難かったチャレンジ

「真由ちゃん、欲しいものは欲しいと願ってもいいんだと思う」

手にすることができなかったものを、もともと欲しくなんかなかったと強がる私に、その友人は静かな声でそう言った。その言葉に、私は「欲しいものが欲しい」と素直に認めて目を背けなかった、あのときのチャレンジを思い出す。

その日、東京でめずらしく風に散る花びらのように雪が舞った。

写真はイメージです。Photo by iStock
 

私は、母と2人で音羽の坂を上って筑波大学附属高校(以下・筑附)を門の外から眺めていた。建国記念日だった2月の祝日、校門は固く閉じられており、中に入ることはできなかった。長いアプローチの遠くに見える校舎よりもなお、私には志望校が遠くに感じられた。

そう、札幌の公立中学校の3年生だった私は、翌日に控える受験のために高校を下見したのだった。

そこに至るまでの道のりは順調とは言いがたかった。