もはや「悪い円安」-久しぶりの円買いドル売り介入発動の機運高まる

意識される「岸田ライン」は120円

かつて「円安」は「株高」を意味した

ドル円為替相場と日本の株価の関係については、長年、円安で株高という経験則(アノマリー)があった。しかし、最近、その経験則が働いていないように見える。

by Gettyimages

振り返れば、戦後の日本経済は、輸出が成長を支えた。その大切な輸出に対して、ネガティブな影響を与える「円高」というものは、最大の経済問題として認識されていた。

ドル円為替相場を長期的にみると、 戦後は1ドル=360円で固定され取引されていた。その後、スミソニアン会議で固定レートを308円に変更し、その後、1973年から変動相場制となり、ほぼ、長期的には円高方向に向かった。2011年10月には75円32銭(360円の約8倍の円高)の史上最高値を付けることになる。

その間、大蔵省(2001年から財務省)が、日本銀行に指示を出して行う、「円売ドル買介入」も継続して実施した。よく日本では為替介入を「日銀バズーカ」ともいうが、実は間違いで、「財務省バズーカ」である。日銀には為替介入を判断・実行する権限はない。事務(オペレーション)を行っているだけである。

その結果として当時、このドル買によって、外貨準備(主としてドル)は世界最大となった(現在の世界最大は中国)。なお為替介入や外貨準備の関係などは、弊書『通貨経済学入門(第2版)』 (日本経済新聞社)をご参照いただきたい。

 

輸出により日本経済を支えた製造業であるが、この円高基調の中で、収益の目減り(為替リスク)を避けるために、国外に生産拠点を移すことになった。そのため、日本国内の製造業は、実質的に空洞化することとなった。

貿易収支も、2011年から(一時的に戻るものの)赤字基調が続く。これは同年3月に発生した東日本大震災によって、(コロナ禍と同様に)国内製造業のサプライチェーン(供給網)が影響を受けたことも一因としてあげられる。

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