2022.01.08
# 音楽

スピッツが、椎名林檎から受けていた「意外な影響」をご存知ですか?

アジカン、バンプからも影響があった
伏見 瞬 プロフィール

2002年に発売された《三日月ロック》は、実際オリコン初登場1位を獲得しているし、売上げも《ハヤブサ》より伸ばしている。大衆的な支持を獲得する狙いは達成されている。では、亀田プロデュースによるサウンドの特徴はなんだろう。

一つは、音数の多さだ。〈夜を駆ける〉に顕著なように、鍵盤はピアノとシンセが共に鳴らされ、ギターも4本以上重なり、他に「キュルルルル」という電子音も聴こえてくる。

〈さわって・変わって〉や〈ガーベラ〉のイントロにもバンド以外の電子音が入り、〈ババロア〉では1曲をとおして四つ打ちのキックが打ち込みで入っている。生音以外の、電子的なサウンドコーティングが施されているのが、《三日月ロック》の目立った特性だ。

《三日月ロック》ジャケット
 

もう一つは、低~中音域の強調。《ハヤブサ》で手に入れた音のレンジの広さが、《三日月ロック》では音の太さに使われている。〈ミカンズのテーマ〉のような軽快でコミカルな楽曲でも、ベースとドラムはズシンという重みを持っている。〈エスカルゴ〉や〈けもの道〉といったディストーションギターが思い切り鳴らされる曲では、ギターにも重たいパワーが感じられる。

《ハヤブサ》では「スコン!」と抜けるような高い響きを有していたスネアドラムが、《三日月ロック》では「ドン!」というタムドラム寄りの音になっている。ただ、高音が控えめであるというわけではなく、それは効果音やキーボードが担っている。レンジ全体に音を敷き詰めていくのが、亀田誠治のサウンドスタイルとして現れている。

関連記事