コンセプトの揺らぎ
2021年の「紅白」はテーマを「カラフル」として、「紅」と「白」を埋没させようとした。
ジェンダーフリーに押されたのだろう。
それでも、男女同数は一応、守られた。もっとも松田聖子が直前に事態したので、紅組21、白組22となったが、これはアクシデントだ。
さらに紅組でも白組でもない企画枠で、松平健、細川たかし、さだまさしなどが出ていた。
基本的には、紅組・白組は同数ではあったが、交互に歌うわけではなかった。男性歌手が三組続いたり、その逆だったりもした。
つまり、歌手同士の一対一の対決ではなかった。
だが、これも2021年だけでなく、いつしかこうなってきた。
昔は、交互に歌っており、その歌手同士の対決色もあったのだ。だから、紅組がアイドルだったら白組もアイドル、演歌の大御所同士、という組み合わせが多かった。
2021年は、全体に言えば、「紅白」はかろうじて維持されたが「歌合戦」ではなくなっていた。
それなのに、一応、勝負をつけなければならず、会場には審査員がいて、さらに視聴者も投票できた。
結果として紅組が勝ったのだが、それによる感激もなさそうだった。
そもそも、川口春奈と大泉洋は、紅組と白組の司会者という位置づけではなかった。
「紅白」であることと、「歌合戦」であることは、不可欠なのだが、それを曖昧にした時点で、番組のコンセプトは揺らいだ。